【体験談】生成AIでプロダクトマネジメントはどう変わる?現場主義の会社で新人PMが実践してみた

前提

・本記事の内容は、まだプロダクトマネージャーになって2ヶ月目の新米PMの個人的な経験と、見解に基づいています。

・生成AIに関する技術や情報は、日々変化しており、本記事の内容が必ずしも最新の情報ではない可能性があります。

自己紹介

 こんにちは!クロスマートでプロダクトマネージャーとして働いている町田です。前職では広報PRの仕事をしていましたが、自分でもプロダクトを作りたいと思い、今年の4月から現職でプロダクトマネージャーとして働き始めました。

 そんな中で、プロダクトマネージャー歴2ヶ月目と経験は浅いですが、業務効率化のために生成AIを積極的に活用しています。「経験が浅いのに、ちゃんと生成AIを使って効率化するの?」と思われるかもしれませんが、個人的にはうまく使えればむしろ成長を促進できる武器になると感じています(あくまで主観です!笑)。

 そこで本記事では、私がプロダクトマネージャーとしての経験が浅い中で生成AIをどのように活用し、業務を効率化しているかについてお話しします。また、そういった経験を通して感じた会社の良さについても触れたいと思います。

今回の記事の流れ(目次)

そもそもなぜ生成AIを活用するのか

 プロダクトマネージャーとしての経験が浅い私にとって、現在最も重要なことは、経験を積むために「打席に立つ回数を増やすこと」だと考えています。そのため、生成AIを利用する理由も、打席に立つ回数を増やす手段として活用しています。最終的な成果物を出すためではなく、叩き台として、または自分では気づけない選択肢を見つけるための思考のヒントを得るために使っています。

もう少し具体的に使う目的を整理すると、下記のようなイメージです。

  1. 効率的なデータ処理:プロダクトマネージャーとして、日々数々のデータや多種多様な情報を扱いますが、人力だけで処理するとどうしても多くの時間が掛かりがちです。慣れていないとなれば、尚更です。生成AIを使えば、これらのデータを素早く正確に処理し、必要な情報を抽出しやすくなります。分析だけでなく、ユーザーヒアリングの録音データを自動で文字起こし&要約なども当てはまります。

  2. 質の高いアウトプットを出すためのヒントを得る:思考の幅は、触れた知識の量と質に比例します。多角的で深い思考をするには、知識の幅を広げることが不可欠です。しかし、膨大な情報を一人で収集し、理解することは容易ではありません。生成AIは、この知識習得を飛躍的に加速させるツールになり得ます。専門的な論文から最新ニュース、多様な意見まで、膨大な情報を瞬時に収集し、整理できるためです。市場分析やブレインストーミングなど、様々な場面で思考の相棒として活用することで、新しい視点やインサイトのヒントを得やすくなります。

  3. 立てる打席数を増やす:生成AIの助けを借りて、より多くのタスクに取り組むことができ、立てる打席数を増やすことができます。特に、プロダクトマネージャーとしての経験が浅い私にとって、トライ&エラーの回数は成長に大きく影響します。試行サイクルを高速で回せるようにして、成長角度の最大化を目指してます。

ということで、実際に使ってみた

 では、生成AIを具体的にどのように活用しているか、もう少し詳しく紹介します。(一部抜粋)

  1. ユーザーヒアリングの効率化:ユーザーヒアリングを録音し、そのデータを生成AIを使って文字起こしし、分析するところまでをしてます。アウトプットの方式も、要約だけでなく、要素ごとに構造化したり、参加していない人向けのレポート形式にしたりと、用途によって変えています。60分のインタビューでも、10分以内に希望のフォーマットでアウトプットできるようになりました。アウトプットのハードルを低くできることで、副次的にヒアリング情報の資産化の促進にもつながる

(画像)実際に本記事をまとめさせてみた結果。かかった時間は3秒。
  1. ユーザーインタビューの叩き台作成:ユーザーヒアリングで生じる、「何を聞けばいいのか?」という疑問。ヒアリング目的とユーザー情報を入れることで、質問の叩き台を作成できるようにしています。ユーザーインタビューにも様々な手法がありますが、自分で決めた手法を事前にインプットさせておくことで、理論の伴った叩き台を素早く作成できるようになりました。

  2. 仕様の選択肢を出す:生成AIを使って要求仕様をチェックし、どのような解き方があるかの壁打ちをしています。解き方の選択肢の発想には、経験値が一定必要になりますが、これを補完してもらうことで、自分自身でも学びつつ、「知らなかった」ことによる、微妙な打ち手になってしまうリスクを(多分)減少させることができます。

 こういった効率化を積み上げることで、地味だが目立たないけど重要な業務に使える時間が大幅に増えました。また使い始めた目的でもある、打席(経験)を増やすという意味でも、できた時間を次のアクションに使えるので、大きく貢献していると思います。

とはいえ、生成AIも万能じゃない

 ここまで散々「生成AI最高だぜ!」的なテンションで、ポジティブなことばかりを書いてきましたが、もちろんそんなことはありません。むしろ、扱い方を間違えると、ネガティブな影響すらあり得ます。ということで、活用する中で分かってきた学びも共有しておきます。

  • ①意思決定をするのは自分
    • 生成AIはあくまでツールであり、最終的な判断は人間が行うべき。例えば、生成AIが提案した新機能のアイデアが、本当にユーザーニーズに合致しているのか、市場の競争状況を踏まえて実現可能なのか、最終的にはPMが判断するべき。現状は意思決定に必要な情報を人間の方が多く持っているため。
  • ②あくまで協働のスタイルが大事
    • 意思決定の文脈からもう1つ言えるのがこれ。生成AI=アシスタントのイメージで使うと、違和感なく「自分で意思決定をする」を体現できるのでおすすめ。小さなこだわりですが、私も自分で作るGPTsは全て「〇〇くん」といった親しみやすい(?)名称にしており、いい案も悪い案も出してくる悪友くらいの期待値になるようにしています!笑

  • ③データ整理や自分自身の理解度が、クオリティに直結する
    • 生成AIの精度を最大限に引き出すためには、事前のデータ整理や指示に対する自分の理解度の高さが重要。わかりやすい指示やデータを渡したほうが人も理解しやすいのと一緒で、整理した情報を渡した方が明確にアウトプットのクオリティは変わります。また分からないことは指示も判断もできません。生成AIの効果は足し算ではなく、掛け算です。0にかけても0ですよね。自分の知識量が大きくクオリティに影響するので、知識の継続的なアップデートがめちゃくちゃ大事です。

(画像)考えたことなど含めて、なるべく思考したことやプロセスをテキストで残し整理しています
  • ④結局思考は自分がする必要がある
    • どんなに効率化しても、「思考することをラクしてはいけない」が正しいかもしれません。思考を放棄してしまうと、どんどんアウトプットのクオリティが下がる負のスパイラルが回り始めます。あくまで、生成AIは責任をとってはくれない悪友だと思ってます
    • 一見それっぽい案をたくさん出してくれるので、ついラクしたくなるときもありますが、そういう時は鬼滅の「生殺与奪の権を他人に握らせるな!!」の脳内再生して、集中しています(仕事しろ)

  • ⑤生成AIはあくまで手段
    • 生成AIは便利なツールですが、それを使うことを目的にしないようにするのが重要そうです。なんでもできる(ように見える)からこそ、つい最初から「生成AIを使って」という前提で進めたくなる時もあります。しかしそれによって、問題の本質を見失ったり、かえって遠回りしてしまうことも。あくまで、「解決策の一つとして生成AIを使えないか?」と考えるのが良さそうというのが、現状私が感じている印象です。

ここでも活きる「現場主義」

 ここまで生成AIの活用方法について色々と書いてきたのですが、今回これらの取り組みがうまくいった背景として弊社のカルチャーの影響も大きいと思っています。

 繰り返しになりますが、生成AIは「0から何かを生み出す」のではなく、すでにある情報を強力にブーストする「掛け算ツール」というのが私のイメージです。だからこそ、”インプット情報”の量と質が重要になります。

 その視点に立ったとき、クロスマートは構造的に、インプット情報の質と量が高くなりやすい仕組みがあります。それが「現場の一次情報をとり、きちんと蓄積する」仕組みです。弊社では、バリューの1つに「現場」を掲げているように、会社全体で「現場を体現する」ことを大切にしています。プロダクトマネージャーやプロダクトチームも例外ではなく、実際に顧客の現場に足を運び、業務プロセスを観察することで、ユーザーのインサイトを得に行くという動きが浸透しています。またそれらの情報が、Notion(ドキュメンテーションツール)にまとまっています。

※詳細は下記↓

xmart-techblog.hatenablog.com

xmart-techblog.hatenablog.com

 今回プロダクトマネージャーとして経験が浅い私でも、生成AIを使って一定のクオリティを出せたのは、この「現場」のバリューが社内に浸透しており、インプット情報の一定以上の量と質が担保されていたことが大きいです。

 ということで引き続き、現場の情報をフルに活用しながら、外食産業の発展に貢献するサービスを作っていければと思います。

最後に

クロスマートでは、PMはもちろんエンジニアやBizDevなど広く一緒に働く仲間を募集中です。

想像力とテクノロジーで外食産業を盛り上げ、ユーザーに愛されるプロダクトを生み出したいという方を絶賛募集中です!

少しでも興味が湧いた方は、ぜひ一度話しましょう!読んでいただき、ありがとうございました。

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