はじめまして! プロダクトマネージャーの田邊です。
クロスマートに入社してから、あっという間に(本当にあっという間に!!)半年が過ぎました。
今回は、本ブログでも何度も取り上げられているクロスマートの「現場」を大切にする文化について、toBプロダクトとtoCプロダクトの開発における違いという視点を交えながらご紹介してみたいと思います。
プロダクト開発において顧客理解が何よりも重要であるというのは、ごくごく一般的な当たり前の話ではありますが、クロスマートではその顧客理解に対する取り組み方が一段と徹底されていました。
何のために現場を大切にする必要があり、それをどのように実践するべきなのか。
このタイミングで改めて自分の中で言語化しておきたいと思います。
toBプロダクトの開発における「顧客理解」の重要性
私は新卒で入社したサイバーエージェントで約13年間toC向けサービスの開発・運用に携わり、その後、2020年に転職したスタートアップ企業で初めてtoBサービスの開発に従事しました。
そして、今年の4月からクロスマートに参画しています。
こうした背景から、toCプロダクトとtoBプロダクトの開発には大きな違いがあることを実感してきました。
それぞれのプロダクトにおける違いを特に大きく感じるのは、顧客の意思決定プロセス・プロダクト設計・意思決定構造です。 以下では、それらの具体的な違いについて詳しく説明します。
購入プロセスと意思決定の違い
toCプロダクトでは、個人が短期間で意思決定を行うことが一般的です。 価格や感覚的な要素、例えば「便利そう」「手軽に使えそう」「楽しそう」といった直感的な評価が大きく影響し、購入に至ります。
一方で、toBプロダクトの購入プロセスは非常に慎重かつ複雑です。 購入決定には、経営陣、IT部門、実際にプロダクトを使用するユーザー部門など、複数のステークホルダーが関与します。特にtoBプロダクトの場合、企業の長期的な投資として評価されるため、ROI(投資対効果)や長期的なサポートが購入決定において重要な要因となります。
このような違いから、toBプロダクト開発では、顧客のビジネスゴールに合致したソリューションを提案し、長期的な関係を築くことが重要です。スケーラビリティとカスタマイズ性の違い
toCサービスでは、多くの個人ユーザーを対象にしているため、標準化されたプロダクトが求められます。 個々のユーザーのカスタマイズニーズには対応せず、むしろ多様なユーザーが使いやすい一貫性のあるUX(ユーザーエクスペリエンス)が重視されます。 スケーラビリティも必要ですが、それは多くのユーザーを同じプロダクトでカバーするためのもので、カスタマイズ性よりも汎用性が優先されます。
対照的に、toBプロダクトは企業ごとの異なる要件や業務フローに対応するカスタマイズ性が非常に重要です。 たとえば、クロスオーダーでは、顧客企業の成長に応じた拠点の追加などに対応できるように設計されています。
顧客のニーズに応じた柔軟なカスタマイズ性を備え、企業の特有のフローにフィットするプロダクトを提供するため、各顧客のビジネスモデルや業務フローを深く理解することが重要です。購入意思決定者とサービス利用ユーザーの違い
toCプロダクトでは、購入意思決定者とサービス利用ユーザーが同一人物であることがほとんどです。つまり、個人が自分のニーズや好みに基づいて意思決定を行い、直接そのサービスを利用します。そのため、先述のとおり、ユーザーの感覚的な満足度や直感的な使いやすさがプロダクト開発の重要な焦点となります。
一方、toBプロダクトでは、購入意思決定者とサービス利用ユーザーが異なるケースが一般的です。
例えば、企業の経営陣やIT部門がプロダクトの導入を決定しますが、実際にそのプロダクトを日常的に使うのは現場の従業員や他のユーザー部門です。意思決定者は、費用対効果や業務効率化などの経営視点を重視し、長期的なビジネス戦略に合致するかどうかを評価します。一方で、実際のユーザーは使い勝手や実際の業務改善に直結する機能を求めます。
そのため、意思決定者向けのROIやセキュリティ、スケーラビリティに加えて、ユーザーが実際に使いやすいUXや業務支援機能を両立させることが求められます。
また、toCプロダクトは、行動データを集約して分析することでユーザーのニーズや製品の課題をある程度捕捉することができますが、toBプロダクトは単なるデータ分析では見えてこない深いレベルの顧客理解が必須となり、表面的な数字だけで解釈してしまうと重大なミスリードにつながるリスクさえあります。
toBプロダクトの開発では、自社プロダクトを業務ツールとして自社に導入できる場合を除き、自分自身が真のユーザーになることができません。 だからこそ、「顧客が求めている体験」をいかに正確に理解するかが、プロダクトの成功を左右します。
クロスマートの「現場」主義の強さ
クロスマートでは、バリューとして”現場”を掲げているとおり、社内の隅々まで「現場を大切にする」という考えが深く根付いており、それがプロダクト開発にも大きく影響を与えています。 会社全体で「現場を大切にする」文化を形成するために、具体的に次のような取り組みが日常的に行われています。
「all_genba_tomoni」チャンネルでの共有
Slackには「all_genba_tomoni」というチャンネルがあり、社内メンバーが「”現場”を体現する行動」を毎日共有しています。
営業チームやサポートチームだけでなく、エンジニアやプロダクトマネージャーも顧客に直接会いに行き、生の声を聞いています。
これにより、顧客の課題やニーズが一層クリアに理解され、プロダクトの改善スピードも上がります。Flyleによる顧客フィードバックの共有
顧客の声は、毎日Flyleというツールを通じて開発チームにフィードバックされます。
週2回実施されているFlyle定例MTGでは、毎回数十個の顧客要望を取り上げ、どうすればより良いサービスを提供できるのか、CSと開発チームが一体となって議論しています。
全員がリアルタイムで顧客の意見を共有することで互いの視界を合わせると共に、改善点を迅速にプロダクトに反映できるようになっています。
また、Flyleでフィードバックを多く上げてくれた社員の名前を毎週月曜日の全社MTGで発表し、開発チームからの感謝の気持ちを伝えることで、フィードバックする側も躊躇や忖度をすることなくフィードバックできる環境作りが行われています。▼Flyleの運用についてはこちらxmart-techblog.hatenablog.com
月例会での表彰
クロスマートでは、月に一度、正社員だけでなく業務委託の方々も含めた全員参加の月例会を開催しています。
その中で、会社のバリューを最も体現したメンバーを表彰する取り組みを行っています。
この表彰制度により、全員が会社の価値観を共有し、一体感を持って働ける環境が生まれています。
これらの文化により、クロスマート全体で顧客理解を深め、サービス全体の価値を向上させる仕組みが強固に根付いています。
「機能」ではなく「体験」を探求する
ここまで、顧客理解の重要性について述べてきましたが、現場を大切にする=顧客の表層的な要望をそのまま受け入れる、ということではありません。
要望の背後にある潜在的な課題や本質的なニーズを理解し、それに応じた価値提供を行うことが重要であり、このプロセスこそがプロダクトの成功につながる鍵となります。
そのために私自身含め開発チームが日々意識しているのは、顧客が求める「機能」ではなく、求める「体験」を探求することです。
例えば、クロスオーダーでは、顧客が「発注をもっと簡単にしたい」と言ったとしても、その背後にある本当のニーズは「発注プロセス全体を可視化し、ミスや不安をなくしたい」という体験への欲求かもしれません。
このような潜在的なニーズを探り当て、そのニーズを満たすための機能をスピーディに提供し、実際に顧客がその価値を実感するまで改善を繰り返す姿勢が大切だと考えています。
まとめ
クロスマートでの半年間は、現場主義を徹底することで顧客理解を深めることの重要性を再確認する時間でした。
顧客のニーズを超えて、どのような体験が求められているのかを見極め、それに応えるプロダクトを提供していく。
この姿勢と文化こそが、クロスマートの強みであり、私自身もプロダクトマネージャーとして特に強く意識していることです。
プロダクトの機能やデザインは他社に真似されやすいものですが、その背後にある思想や、その思想を生み出す企業文化は模倣できません。
強い企業文化こそが、常に新しい価値を生み出し続けるための本当の意味での競争力となり、結果的に企業の成長や長期的な成功につながると信じています。
これからも、クロスマートの一員として「現場」の声に耳を傾け、顧客体験を磨き続けることで、さらに価値あるプロダクトを作り上げていきたいと思います。
クロスマートの「現場主義」に共感する方、ぜひ私たちと一緒に働きませんか?